誰でもできるわが家の耐震診断表紙

もし持ち家に住んでいて容易に引っ越せないというのなら、今住んでいる家を安全化するしかありませんね。市町村が実施している耐震診断を受けたり、地震保険に加入したりして、少しでもリスクを減らしましょう。また、分譲マンションを所有しているケースやこれから持ち家や分譲マンションを買おうという場合についてもお知らせします。

◆まずは「だれでもできる我が家の耐震診断」

阪神淡路大震災の死体検案書をNHKが分析したところ、地震当日に死亡した5036人の76%にあたる3842人は地震から1時間以内に死亡しており、このうちの9割が圧迫死(圧死、窒息死など)だったとのことです。(http://amzn.to/2oDQCXE NHKスペシャル取材班『震度7 何が生死を分けたのか -埋もれたデータ21年目の真実- 』、KKベストセラーズ、2016年、44-48頁)

この多くは木造家屋が倒壊し、家屋の下敷きになって即死したとみられています。特に1階で就寝中に圧死した人が多かった、とのことです。

2階建て木造住宅の場合、「(屋根瓦と2階の重みで)1階の柱が折れて潰れるケース」が多かったが、建物が倒壊しても2階の場合は生存のスペースが残りやすく、死者は少なかった」そうです。

地震の時には、住み慣れた我が家が凶器になります。これを防ぐには、安全な地盤の上に最新の基準で新しい家を建てられればいいのですが、なかなかそうはいきませんよね。

まずは、国土交通省が監修している「だれでもできる我が家の耐震診断」をしてみましょう。

http://www.kenchiku-bosai.or.jp/seismic/wagayare/taisin_flash.html

簡単な質問に答えるだけで、自宅の安心度を確かめることができます。

これで「専門家に診てもらいましょう」「心配ですので、早めに専門家に診てもらいましょう」と診断されたら、住んでいる市区町村の担当窓口に相談してください。

市区町村によって補助金が出たり、相談に乗ってくれたりします。

東京都耐震ポータルサイトでは、各自治体の窓口の連絡先をまとめたページを公開しています。

耐震診断・改修に関する相談窓口

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/other/soudan/list.html

◆専門家の診断を受ける

このあとは、この図のようにすすんでいきます。

(一般社団法人日本建設業連合会のサイトより http://www.nikkenren.com/kenchiku/taishinka/about_2.html

市区町村の担当者や、そこから紹介された業者の人と相談しながら、どのくらいのお金がかかるのか、補助金などが出るのか、を聞きながらやっていきましょう。

◆地震保険に入る

持ち家なら、多くの人が火災保険に加入していると思いますが、この契約の内容を確認にしてみましょう。地震保険は、火災保険に付帯して契約するもので、単独では契約できません。火災保険の契約書を確認すると、火災保険には入っているけれど、地震保険には加入していないケースも見つかると思います。

地震保険の補償額は、火災保険の30%~50%の間で任意に設定するしくみになっています。補償額は建物5,000万円、家財1,000万円が限度とされています。たとえば火災保険が2,000万円なら地震保険は600万円~1,000万円で設定します。仮に地震によって建物や家財が全壊・全焼など大きな損害を受けたとしても、限度額以上の補償を受けることはできません。

天災はいつ起こるかわからないもの。でも、もしも震災の被害に遭った場合には、自宅の被害の状況にかかわらず、生活の再建には相当のお金がかかる可能性が高いと考えられます。いざというときに慌てないように、できればあらかじめ備えをしておきたいものですね。

そこで、単独で加入でき、効率的に手ごろな保険料で震災に見舞われたときに必要な住宅再建や生活再建の資金を備える方法として、SBI少額短期保険の地震補償保険「リスタ」があります。

地震補償保険「リスタ」とは、地震を原因とした住宅の倒壊、火災、地崩れ、土砂災害、津波、流出、地盤沈下、液状化など、政府の定める認定基準に基づいて、自宅が地方自治体の被害認定を受けた場合に補償を受けることができる保険です。保険金額は、300万円・500万円・600万円・700万円・900万円(全壊の場合)の5つのタイプから、世帯の人数に応じて選ぶことができます。

◆マンションに住んでいたら

マンションは鉄筋コンクリート製ですし、見た目も立派ですから地震に強そうに思えます。

1995年に阪神・淡路大震災(マグニチュード7.3、一部で震度7)が発生したとき、「東京カンテイ」は神戸市内にあるマンション3096戸を対象に、被害の実態を現地調査して、大破、中破、小破、軽微、損傷なしの5段階に分類しました。(http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/ba/56/index.html

この調査で注目すべきは「新耐震基準」で建てられていたマンションでも損傷はゼロではなかったことです。まして、旧耐震基準では損傷率が更に上がっています。

こればかりは、住んでいる身としては今更どうしようもないですよね。

せめて、管理組合に積極的に参加して、日々のメンテナンスを着実にしていくことしかないですね。

マンションの管理組合の仕事は大変でめんどうくさいです。私の周囲にも輪番で回ってくる管理組合の役員の仕事を忌み嫌っている人もたくさんいます。でも自分の財産です。他人や管理業者に任せっきりにしないで、安全な住まいを確保しましょう。

◆住み替えが可能なら

もし、住み替えが可能なら、安全な建物に住み替えましょう。

特に高層階にお住まいのみなさん、被災時に耐えられるでしょうか?

東京都では、大地震の時の電力の復旧目標を7日としており、上下水道は30日、都市ガスは60日です。ここで注意しなくてはいけないのは、これはあくまで「目標」だということです。この日数で必ずインフラが復旧するという保証はどこにもないのです。

電気が止まれば、もし水道が先に復旧していたとしてもマンションでは水が出ません。ポンプで上階までくみ上げているからです。この間、給水車が一階まで水を持ってきてくれるかもしれません。でも、その水を20階とか30階とかの住まいまで階段で運べますか? 人間が必要な水は飲用と炊事用で1日1人3リットル。4人家族なら毎日12キロの水を上階まで運ぶのです。これはそうと大変だと思います。ましてや、足が悪いとか体力がないといった方は、絶望的な気分になるでしょう。これを機会に、安全な低層階に引っ越すことも考えたほうがいいかもしれません。

◆これから買うなら

いい地盤の物件だけを掲載する不動産サイトというのがあります。2017年2月にオープンした「JIBANGOO」です。

https://jibangoo.jp/

このサイトを運営する地盤ネットホールディングスは、ハザードマップや活断層マップなどの公的な地盤情報に、同社が年間約5万件行っている地盤調査の独自データを加えたデータベース「地盤安心マップ」を作成しています。地盤情報に基づいて災害リスクを「地盤改良工事率」「浸水リスク」「地震による揺れやすさ」「土砂災害リスク」「液状化リスク」の5項目で評価し、100点満点で「地盤安心スコア」を算出し、80点以上は「安全」=緑、55点~75点は「普通」=黄、50点以下は「注意」=赤と色分けした情報を、事業者向けの有償サービス「地盤安心マップPRO」や、消費者向け無料サービス「じぶんの地盤アプリ」などに活用してきました。「JIBANGOO」では、地盤安心スコアで80点以上の点数が付いた土地を掲載しています。「新築物件」「中古物件」「土地物件」を選び、地図をクリックすると「90」「95」などの地盤安心スコアとともに物件が表示されます。

このウェブサイトに掲載されている物件ならば、少なくとも地盤は安心ですね。

もし賃貸なら

こちらをご覧ください⇒ http://risk.tokyo/countermeasure/rentalhouse/

家具の転倒防止もしましょう

こちらをご覧ください⇒ http://risk.tokyo/countermeasure/furtitures/