災害:先人の声に耳を傾けよう 〜 東洋文庫ミュージアムの「安政の大地震展」

東洋文庫ミュージアム「安政の大地震」チラシ

文京区本駒込にある東洋文庫ミュージアムで開催されている「安政の大地震展」に行ってきました。 http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/exhibition.php

「安政」年間とは1854年から1860年までの期間です。大政奉還が1867年のことですから、まさに幕末ですね。

200年以上続いた徳川の治世が揺らぎ、社会が不安定になっていたこの時期に、日本全国で地震が多発したのです。

1854年12月23日(嘉永7年11月4日)駿河湾から熊野灘にかけての「東海沖」を震源とする「安政東海地震」が発生し、なんとその翌日には紀伊から四国にかけて「安政南海地震」が発生しました。

この2つはフィリピン海プレートとアムール・プレートのプレート境界の沈み込み帯である南海トラフ沿いが震源域と考えられている巨大地震でした。 ペリーの来航は1852年ですが、これに続いて来航していたロシアの軍艦が沈没するなどの被害も出て、国外にも知られる災害となりました。

そしてその翌年1855年11月11日(安政2年10月2日)夜9時過ぎ、東京湾北部を震源とする推定マグニチュード7の直下型地震が起こりました。これが安政江戸地震です。

この展覧会では、東洋文庫が豊富に所蔵する江戸時代の書籍から、この当時の模様を伝える図画を展示したものです。

「諸国大地震大津浪細見噺の種」では構成に伝えたいニュースをギュギュッとまとめて伝え、「安政見聞誌」では仮設住宅に住まう江戸の住民の姿や曲がってしまった浅草寺五重塔の九輪を画で伝えています。

「地震諷刺絵」は辛い被災生活を笑い飛ばすユーモアのかたまり。当時は地震は大ナマズが暴れて起こるなどと言われていたわけですが、庶民が一丸となってナマズを懲らしめていたりします。

歌川広重は、被災後復旧に向かう江戸の姿を「名所江戸百景」として美しい浮世絵に描いています。

歌川広重「名所江戸百景」Kindle版表紙

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このように伝承される知恵が、さまざまな形で残っているのですね。 東日本大震災のときにも、地域地域に先人の言い伝えがあることがクローズアップされましたが、今の東京には先祖代々東京にいて様々な言い伝えが残っているファミリーはいないことでしょう。 このように残された資料を通して、先人の声に耳を傾けるべきなのかもしれませんね。

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